成年後見制度に関する基本知識

成年後見制度とは、簡単に言うとドイツの『世話法』や、イギリスの『持続的代理権授与法』といった、弱者を守るための法律を参考にして日本で制定された、法律行為を助ける代理人を立てるための制度です。例えば、この制度を利用すれば、生まれつきの発達障害や精神障害、高齢になってからの痴呆などのために、自らの判断で法律行為を行う事が出来ない方にかわって代理人が、本来ならば本人でなければできない高額の売買契約などの契約を結んだりすることができるようになります。

それだけならば、未成年に対する親などとたいして違いはないように見えますが、成年後見制度によって代理人を立てた場合は、本人の法律行為に制限がかかる、という差があるのです。どういう事かというと、もともと成年後見制度は古くから日本にあった『禁治法』という、本人が財産を治めることを禁止する法律から由来しています。こちらも、ある意味では本人の法律行為に制限がかかるといえるのですが、安価な日用品のちょっとした買い物など、制限をかける必要のない行為まで該当してしまうという、本人の自己決定権までをも否定する強い法律で、ほとんどの該当者が利用に抵抗があり人気がなく、あまり現実的とは言えない法律でした。そこで、成年後見制度では本人の行為を最初から完全に『禁止』するのではなく、何かあった場合には、裁判所に申し立てて行為を取り消すことができる『取消権』が強化されています。

たとえば、被成年後見人が詐欺業者に騙されて不当な契約を結んでしまったとしても、申し立てをすればただちに行為を取り消すことができるのです。通常ならば、いかに不当な契約であるかをまとめたり、契約時の精神状態が正当な判断のできる状態ではなかったと主張する、など取り消す理由を用意しなければなりませんが、被成年後見人は、後見人を通じて申し立てれば大丈夫です。その反面、前述のとおりかつては制限されてしまっていた日常品の買い物などは、医師などから本人が可能と判断されれば、本人が行っても問題ないですし、そういった行為に関しては、仮に成年後見人があとから取り消そうとしても、取消権や代理権は行使できません。たとえ後見人が必要となっていても、本人の意思決定をできる限り尊重しているからです。それに、治療による回復などが見込めれば、後から被成年後見人でなくなることも認められています。成年後見制度は、かつての禁治法と比較して、かなり差別感のない法律へと変化を遂げているのです。

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